第4章 3 玉章と七つの影
「(犬神…?)」
犬神と呼ばれた奴はリクオを振りほどくと、後をついてった。崩れ落ちるように座り込むカナを支えリクオは心配そうに声をかける。
「かなちゃん!かなちゃん、大丈夫?」
必死に舐められた頬を拭きながらも、カナは何もされていないようだ。
「大丈夫だ。」
近づいてきた氷麗にそう告げると、驚きの声が上がった。
夕陽に向かって歩く黒い影。
「何…あれ。」
「……あ、あれは?」
「な、なによあれ?さっきまで、さっきまであんなのいなかったのに。」
「ついたね。七人同行。いや、四国八十八鬼夜行の幹部たち。やれるよ。僕らはこの地を奪う。上っていくのは、僕らだよ。」