第3章 神の率いる百鬼夜行
「なきたいときは泣いていいの。私がいるじゃない。…リクオも、皆も。1人じゃないのよ。」
紫苑は今までこらえていたものが、抑えきれなくなったような気がした。
次から次へと涙が頬を伝う。
私は今まで、両親がいないことで泣いていただろうか?答えは、一度も。泣いてはいるけれども、表には出していない。
「ほんとに…お母さんと呼んでもいいの?」
「勿論よ。あなたは私達四人の娘よ。」
「……ありがとう。…若菜お母さん。」
「よくできました。辛かったわね。」
若菜に包みこまれるように抱かれると、紫苑は声をあげて泣き始めた。ずっとずっと、こうしたかった。
両親の為に泣きたかった。
自分の場所が欲しかった。
若菜は優しく笑みをたたえながら優しく優しく紫苑を抱いていた。