第3章 神の率いる百鬼夜行
謝る紫苑にリクオは特に気にしていないようで、手を振ってこたえた。
「個性豊かだね。大丈夫だよ、僕らも同じようなもんだから。…ほら。」
リクオに言われるがまま皆の様子を見ると、なるほど、今や奴良組聖獣組混ざってドンチャン騒ぎをしている始末。
リクオは慣れているらしく、別に止めようともしなかった。
紫苑もリクオに習うと、縁側に出て外を眺めた。
二人で縁側に座り、後ろのドンチャン騒ぎに耳を傾ける。
「おや、これは若に、紫苑様ではないですか。ご機嫌麗しく。」
「一つ目。」
振り向くと、一つ目がニヤニヤしながら立っていた。
後ろの騒ぎにちらっと眼を移すと、見え見えの芝居声で紫苑に話しかけた。
「これはこれは、五月蠅い奴らですね。躾がまるでなってない。…ま、聖獣組の総大将様は陰陽師の血も混ざってるから、妖怪の躾が難しいんでしょうね~。」
その瞬間、紫苑の目が驚きで見開かれ次の瞬間には悲しみの色が出ていた。俯き、顔を伏せる紫苑。リクオはそんな紫苑を横目で見ながら、一つ目に向かって厳しく諌めた。
「それは、僕の事も同時に批判していることになる。僕だって人間の血が流れている。しかも、紫苑の方が僕より妖怪の血が濃い。何がどうあろうと、紫苑が妖怪でもあり陰陽師の血を継いでいるのに大した問題はない。」
「そんなつもりで言ったんじゃないんで。」
一つ目はさっさとその場を去ると、リクオはまだ俯いている紫苑に向き直った。
「ごめんよ。あーゆーやつなんだ。」