第3章 ネコとフクロウ。
何時間経っただろうか。
いくらなんでも打ちすぎでしょ。
どんだけスパイク好きなの、どんだけ跳ねるの、木兎とクロと赤葦くんの身体はどうつくられてんの。
ただボールを上げている私はもう既に限界だった。
化け物だコイツら、体力お化けだ。
こんな暑いのになんでそんなに動けるんだ。
『わ、私ちょっと…休む…』
持っていたボールをカゴに戻し立ちっぱなしで死にそうな足を動かし、壁へ突進する。
ボール上げがこんなに過酷だったとは…危ない危ない。
「なんだ冬華もうバテてんの?」
『アンタと一緒にすんな』
「なんか飲みもん買ってくっか、冬華なにがいい?」
『回復薬』
「ありません」
『お茶』
「冬華さんはお茶で木兎さんはスポドリでいいですか?」
「え、あかーし行くの?」
「黒尾さんがペットボトル5本持てると思いますか?」
思わない。
絶対落とす、歩く度に一本落とす。
赤葦くん、さすが木兎の世話係
「あかーし残ってろよ、俺と黒尾で言ってくる!!」
「なんでですか」
「だって冬華が俺と二人きりって想像したら沈黙しかねぇから」
そりゃこっちのセリフだミミズクヘッド。
お前と話すことなんかなんもない。
「それもー…そうですか?」
『うん、木兎と二人きりとか耐えられない』
「傷つく!!」
「お前が先に言ったんだろーが」
身体をくねらせている木兎がキモくて笑える。
なにあれ。
「…分かりました、俺が残ります」
先輩に飲み物を買ってきてもらうって気が引けるのかな、悪いことしたかも。
ごめん赤葦くん。