第6章 雄英体育祭
開始アナウンスと共に、複数の騎馬が一斉に緑谷くんへと向かっていく。私達は、その目立つ彼らに隠れつつ、終盤まで失点なく粘る作戦だ。私のポイントと彼のポイントを考えれば、失点さえしなければ本戦に余裕で行けるだろう。
「うわぁ…緑谷人気者じゃん」
皆ギラギラとした目で緑谷たち騎馬へ襲いかかる。強敵な爆豪や轟も1000万ポイントに釣られ、私たちなんて目にもくれていない。
「おい!あいつ、4位の奴だ!!」
しかし、個性と個性がぶつかり合うあの争奪戦を遠巻きに見ているものにとって、私のポイントは格好の餌食。私は目の色を変えて突進してくる彼らの足元に、とあるものをばらまいた。
「それは…一次予選で使ったものか?」
さすが心操くん。観察力が半端じゃない。私はふふっと笑って、司令を出した。
「よそ見は禁物だぜ!!!」
1つの騎馬に集中してもいられない。敵は四方八方から来るのだ。勿論、私の個性は下準備がいるので、そんな器用なことは出来ない。しかし、そんな時は尾白くんの個性である尻尾、彼が対処できない攻撃をB組の少年が補い、心操くんが敵を洗脳して、ポイントを取る。そして、私ので敵を退ける。
「…心操だけは敵に回したくないや」
ここまでの私たちの綺麗すぎる統率に、私は思わず顔を引き攣らせた。1人ならともかく、心操くんは同時に2人をコントロールし、さらに新たな洗脳を行い、ポイントを次々と奪っている。
「俺は犬猫山こそ敵に回さなくて良かったと思ってるがな」
心操くんが、敵の騎手を地面に落としながらそう言った。私はこちらに近づいてくる敵を土から作り出した土偶に相手させている。
「私? 私なんて心操くんのいい様に操られているだけなのに?」
「…よく言う」