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私の敵はヒーロー

第5章 雄英、調査期間


「………失礼します。犬猫山です」

教室を出た私はもちろん花婿探しの旅なんかに出るわけもなく。ノックをしたのは会議室だった。

「入りなさい」

「…失礼します」

中にはいると、見たことのある先生たちから見たことのない先生たちまでずらりと揃っていた。

「………そこに」

私が言われた通り席に着くと、一斉に注目が集まるのが分かった。

「せっかくの昼休みに呼び出して悪いね。あのヴィラン襲撃の際、1番近くにいたのは人質であった君でね。情報があまりにも少ないため、君にも協力してもらおうと思ったのだよ」

隣にいる先生が私に優しい口調で話しかけた。

「……そうしたいのは山々なのですが…私が人質にされていたのはほんの間だけです。分かったのは彼らの名前、彼らの能力、そして平和の象徴であるオールマイトを抹殺することを目的としているとしか………すみません」

この話はもう何回もしている。話が詰まる度、私はこの会議に呼び出されるのだ。そして私は、その度に申し訳なさそうに俯くのだ。

「いやいや。君に責があるわけではないんだ。ただ犬猫山さん、新しく何か思い出した事はないかね?例えばそうコレのこととか


ぱっと映し出されたモニタには拘束された脳無の姿があった。脳無はオールマイトに吹っ飛ばされながらも、体は再生されていた。

「なんという無神経なことを!!この子はそれと対峙しているのですよ!!!! 大体……」

ここで先生たちの言い合いが始まった。隣の女の先生が私の背中を静かに摩る。私は映像から目をそらし、出てくるため息を飲み込んだ。

…………あの脳無は、オールマイト対策と言うことが出来た唯一の完成品だったというのに。あれでは回収は不可能だろう。…お偉いさんたちがただをこねなきゃいいが。まぁ、その対処は先生がしてくれるだろうけど。私は真実を話すだけだ。問題は………

「我々はいち教師である前にヒーローだ。それを忘れるな。

済まない、犬猫山さん。加えて、私からひとついいかね。何故君は人質に選ばれたのか分かるかね?」

私が疑われているということ。やはりこうなると思った。ここ数日の間、付けられていたのもこれが原因か。
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