第5章 雄英、調査期間
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「おい!!ちんたらすんなよ**!!」
「待ってよ****!!」
………最近悪夢ばっかり見ていた私にとって、久しぶり心地よい夢の中だった。私の足元を二人の子供がきゃきゃっと無邪気そうに通り過ぎる。ボサボサの髪とツンツンに尖った髪。対照的な髪型で性格のこのふたりは何かとても仲が良さそうだった。
「……おい!!何ぼーっとしてんだよ!夜蝶!! 置いていくぞ」
「どうしたの? 夜蝶ちゃん、気分悪い?」
「え?」
先程元気よく通り過ぎていた二人組の子が私を向いて、不思議そうにしていた。いつの間にか私の体も彼らと同じ背丈になっていた。
「ほら!!今日は森にいくぞ!! 大人も立入禁止の所だ!! 絶対楽しいぞ!! 手離すんじゃねぇぞ!!」
そう言って私に左手を差し出すツンツン髪。
「あ、危ないって*****!! 夜蝶ちゃんも危ないから、手離さないようにしよう。迷子になっちゃう」
「………うん!! 待って!!」
私は彼らの手を掴み、笑った。夢なのにどこかしこも温かかった。