第2章 雄英に合格
「犬猫山夜蝶でーす! 好きなものはテレビで、嫌いなものは勉強。友達からはてふてふちゃんとか呼ばれる。個性は動物と会話できるっていうまぁ、ありきたりで平凡な個性で………あ、この子は一番の仲良しの猫のクロシロ。可愛いでしょ。あとは………」
「犬猫山」
と、ここで担任の相澤先生が口を挟まれ、私は首をかしげる。
「喋りすぎだ」
「あ、ごめんなさい」
どっと笑いが起こった。
「取り敢えず、よろしく! 憧れの雄英に入れて有頂天なんだ」
テヘへと笑いながら、私は座った。周りの子がわざわざ後ろを振り返って、私に笑いかける。それを返しながら私は心の中でほくそ笑んだ。出だしはこれで良いだろう。まぁ、この状況で私を疑う人なんて誰もいないだろうが、と。
「てふてふちゃん! 着替えに行こう!!」
「了解!!」
私はヴィラン。偽善であるヒーローをひとり残らず殲滅するために送り込まれたスパイ。ヒーローなんて皆死ねばいい。全知全能だなんて呼ばれている、平和の象徴と一緒に。