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私の敵はヒーロー

第15章 新たな門出と、仮免


「犬猫山さんっ!!」
「おけ百ちゃん!!」

私は百ちゃんが発見したおじいさんの救助を手伝った。崩折れそうな瓦礫を支え、慎重に救助を行う。だが、少数精鋭で救助する方が効率がいいとなり、私ももひとまず他の救助者を探そうと飯田くんの背を追う。考える素振りを見せる彼にどうしたのかと問いかける。

「先程士傑の方がヘリの着地場所を確保していたんだ。僕の個性だとそれが難しくてな…君もなにかいい案があるなら…」
「あるよ!」

私は地面に手をついた。……そう言えば、A組にとっては、これが初お披露目になるのか。私は目を瞑った。そして、瞼の裏まで伝わる鮮明な赤を感じながら、ふっと目を開ける。すると、目の前にあった瓦礫などの物は綺麗に駆除できていた。うん…これでよしっと!!

「犬猫山くん…!?」

飯田くんや周りのA組が、驚いた表情を私に向けていた。私はにひひっと笑った。

「知らなかったっけ? 私エンデヴァーの家系で、しかも轟焦凍の妹なんだよ」

すると、飯田くんはそれに笑い返し、知っていたさと返す。他のA組も私に何かしら言葉や仕草を返し、救助にとりかかる。私は翼を生やし、空へと飛び上がった。

「飯田くん!! そこの瓦礫にまだ人いる!! そこも!!」

そして、皆に指示を出し、私も比較的救助しにくい場所へと赴き、積極的に行った。

「助けに来るのが遅い!!」

ビルの上から足を挫いて動けない老婆…改め少女をビルの上から救助し、そのまま救助者を運ぶ。

「炎の個性でなんの説明もなく、救助者を抱き抱えるな!! 救助者の不安に繋がる!!」

大丈夫、怖くないよ…そう言葉をかけていると、突如そのように駄目だしされる。

「飛べる個性があるなら、率先して動け!! 積極性に欠けるぞ!!」

私はすみません…と呟くしか無かった。そして、彼女を下ろすと、ふと…彼女の歩き方が少しおかしい事に気づく。

「あぁ…これは気にせんでいい。それよりも、いつまでも突っ立ってないで早急に次の救助者を……!?」

つまり、これは本当のものらしい。私は彼女の足に手を翳した。
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