第15章 新たな門出と、仮免
「犬猫山さんっ!! 合格されていたのですね!!」
「百ちゃんも!!」
私は百ちゃんの腕に飛び込む。姿が見えないようで安心しました…と彼女が安堵したように私を見た。
「後A組で来ていないのは…上鳴さん!皆さんよくご無事で!心配していましたわ」
「ヤオモモー!ゴブジよゴブジ!つーか早くね皆!?」
上鳴くんが先頭で、A組6人が控え室に到着する。
「夜蝶」
振り返ると、轟が私の姿を見て安心した様子で立っていた。どうやら少し探してくれたらしい。彼に駆け寄ると、私の頭を軽く撫でた。
「お疲れ、焦凍お兄ちゃん」
「…あぁ、お疲れ」
ニコッと笑い、彼の頭を撫で返す。すると、少し照れたように頬を緩ませる姿に、その場にいた男女が見惚れていたのは言うまでもないことだ。
そして、控え室で到着した飯田くんを筆頭に…残りのA組メンツに諸手をあげて歓喜した。なんとA組全員一次通過。これには流石の相澤先生もバンザイで喜んでいることだろう。ハイタッチを返し、盛り上がる私たち。それを鎮めたのは、控え室の壁に取り付けられた液晶を見ろという指示だった。
「うへぇ!?」
思わず驚きが漏れる…なんと液晶の中では、ド派手な効果音でビルが次から次へと爆破されていく光景が中継されていた。
「次の試験でラストになります!皆さんにはこれからこの被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行ってもらいます」
バイスタンダー…一般市民を表す語だ。二次試験は、どれだけ適切な救助を行えるかだった。