第15章 新たな門出と、仮免
八月中旬、わたしと轟は家を出て、寮で生活することになる。まぁ、その過程で、エンデヴァーが面談に応じなかったり、そんなエンデヴァーをお姉さんが怒ったりなど色々大変だったのだが…。
「忘れ物ねぇか?」
轟の言葉に私は頷いた。大体の荷物はダンボールに詰めて送ったので、あとは私達たちが向かうのみの状態。玄関から足を踏み出す。
「いってらっしゃい」
穏やかに微笑みながら、手を振るお姉さんに私たちは頷いた。
「「いってきます」」
自然と重なった声に、三人で顔を見合わせて大笑いする。ふと、お姉さんが陰りのある表情を見せる。
「……2人とも、頑張って!!」
心配そうな表情が隠せないお姉さんに、私たちはガシッとお互いの肩を掴んだ。
「大丈夫だ。夜蝶は俺が守るから」
「大丈夫だよ。轟…じゃなかった、お兄ちゃんは私がちゃんと見てるから」
これもほぼ被りで、私たちはまた笑い声をあげた。
「ほんっと、貴方たち似た者兄弟だよ」
涙目で姉はそう言った。轟は当たり前だという顔をし、彼の次の言葉が容易に想像出来、私は笑いながら口を開いた。
「俺はこいつの兄なんだからな」
「私はこの人の妹だからね」