第13章 ヴィラン連合軍
「なんの…お話でしょうか?」
ドクンっと心臓が嫌な音を立てた。先生から八木さんの名前が出たのは本当に意外だった。だが、自分を押し殺して私はそう返した。
「八木俊典は、ただの近所付き合いにおいて接していた人物です。最初は一時的な付き合いの予定でしたが、彼は雄英出身者。故に、利用価値があると踏んだまでです。そこに何の意味もありません」
淡々と返す私に、先生は微笑んだ。
「…そうか。彼は雄英出身者だったのか。だったら、今までの君の行動も説明がつくね。彼に取り入って、貴重な情報源を得ようとしていたのだから」
「……まあ、期待するような情報はあまり得られませんでしたが」
私の言葉に、先生は安心したと再び席へと戻った。
「まぁ、取り敢えず部屋に戻るといい。ヒーロー殺しの狂信者たちは君の好きにするといい。ヒーローの卵として彼らの上に立つのか、はたまたヴィラン連合軍として身を明かすのか、君に任せるよ」
ヒーロー殺しの件も想定済みか。本当、恐ろしいなこの人。何手先が見えているのだろうか…
「…ありがとうございます」
そして、私は部屋へと戻され、冷や汗ダラダラで大きなため息をつくのだった。