第11章 演習試験
時は流れ六月最終週、期末テストまで残すところ一週間を切っていた…という所で、教室内の穏やかな空気を上鳴と三奈ちゃんの絶叫が響いた。確かこの2人は、このクラスの最下位争いの二人。今のところ、三奈ちゃんが20位で、上鳴が21位。だが、二人ともほぼ大差なく赤点常習者だ。
体育祭、職場体験、プラス雄英の毎日の授業。これらをこなしていく必要のあるヒーロー科。それ故に圧倒的に他の科より勉強時間が削られる。
「演習試験もあるのが辛いところだよな」
そう笑う峰田は成績9位。…人は見かけによらないものだ。余裕の峯田に2人が突っかかるが、勝ち目がないのは一目瞭然。座学成績最下位コンビを励まそうとした緑谷は4位、彼の言葉に頷く飯田は2位、正論を言う轟は5位。不意に、三奈ちゃんが私の腕を掴んだ。
「おね…お願い…夜蝶ちゃん……勉強…勉強を…教えてください…」
私はそんな彼女の肩にポンっと手を置いた。彼女の中で、私は勉強ができる分類なのか…。そして、百ちゃんの方を見た。
「私も三奈ちゃんとあまり変わらないから。2人で百ちゃんとお勉強しよう」
ちなみに、私の順位は21位中、16位。雄英という頭のいい部類では、下の下の位置。
「にしても、犬猫山が俺より下って意外だな。いや、別に馬鹿にしてるわけじゃねぇけどよ!!」
私の方を見ながら、切島がそう言う。私はてへっと笑った。
「私、全然勉強してなかったからさ。その時、付き合ってた新戸先輩とパーティ三昧で」
「あぁ、あの1ヶ月と持たなかった新戸カンパニーの息子か!! 懐かしいね!!」
「そうそう。でも、だからって勉強ができるってわけじゃ……」
にこにこと三奈ちゃんが言うので、私もふふっと笑っていると、突然ドンッと机を叩く音が教室内に響いた。
「ど、どうかした?爆豪」
私は恐る恐る彼に尋ねた。今回は別に、彼のプライドを刺激するようなことは言っていないはず。すると、彼の機嫌を損ねたのは緑谷だろうか? ちらりと見ると、緑谷は首を横に振っていた。
「あ? 何でもねぇよ!! てめぇ教え殺してやるから覚悟しとけ!!!!!!」
私に教科書を投げつける爆豪。私は三奈ちゃんと顔を見合わせた。爆豪は、21位中、3位。これ以上ない先生だろう。私たちは満面の笑みを爆豪に向けた。
「「よろしくお願いします!!!!!!」」