第11章 演習試験
ヒーロー殺しの騒動から、一夜明け。暗い建物から光が差す。私はそれを頬杖を付きながら眺め、そして後ろに倒れ込んだ。
「………くくく!! あはははははは!!!!!!」
そのあとは、もう腹をかかえて笑うだけ。私は汚れるのも構わず、ゴロゴロと転げ回った。
「……そんなにもおかしいですか?」
しきりに笑った後、私をここに連れてきた黒霧さんが呆れたようにため息をついた。
「だって…あれだけ啖呵切っておいて……世間の話題は……ヒーロー殺しだけ!!!!!!」
再び笑いが私を襲い、私はドンドンと地面を叩く。笑いすぎて酸欠だ。私の足元には、今朝の新聞が放り出されていた。見出しは、ヒーロー殺し逮捕。脳無のことなんて、二の次だ。
「しかもっ…しかも……ぼーっと立ち尽くす姿をカメラに撮られてるし………!! 」
その中で、小さく取り上げられている二人の写真。私はそれを見て、また爆笑した。大体、あんだけ騒ぎになってたら、ヘリだって飛ぶでしょう!! 自分たちがヴィランだという自覚がないんですかね??
「………………気は済みましたか?」
「ええ。少し」
涙が滲む目を軽く擦り、私は起き上がった。太陽はもう登っている。今日1日、大変そうだ。まぁ、昨日よりは大変じゃないだろう。
「…ヒーロー殺しの件から、ヴィラン連合の仲間が募りつつあります。あなたの仕事も増えるでしょうね」
「そうでしょうね。しかし、今度は烏合の衆などではないのでしょう? 各自、思想と力を持った方々が集結しつつある…喜ばしいことです」
私は思わず大きく腕を広げた。風が私の髪をなびかせ、熱を奪ってくれる。
「ありがとう、赤黒血染。あなたのおかげで、私の思想がようやく前に進める」
あなたは私を自分の後継者だと言ったが、私はそうは思わない。だって、私はあなたの崇拝するオールマイトを…殺したいのだから。