第6章 雄英体育祭
~別side~
「…私、相澤先生のようなヒーローになりたいですから。だから、頑張ります」
その言葉を聞いた時、私は安堵の方が勝ってしまった。私のようになりたいと…そう言ってくれる子も多い。それはとても嬉しいことだ。だが、正直に言えば…
「……辛い思いをしてきた子に、これ以上重石を渡すことなんてできないさ」
歓声の声に紛れるように、私は小さく呟いた。そして、
「…そうか。君ならなれるさ!私が保証しよう!」
そう言葉を投げかけると、彼女はポカンっとした顔をした。その顔に笑いかけると、私は轟少年へと声をかける。
「……私なんて……私なんて……」
そう一筋の涙を零しながら呟く彼女に、私はいつも何も出来ないでいるのだ。せめて、彼女が笑っていられるような世界にできたら……と思う。私が平和の象徴でいられるうちに。