第3章 僕だって*十四松
「でも家族には勝てないよねぇ」
十「そんなことない!僕、兄さん達好きだけど、一之瀬ちゃんはもっと好き。特別だもん!」
気の効いた言葉なんて言えない
ただ自分の思ってることを伝えるだけ
十「確かに今までの僕を知らないかも知れない。なら、これからいっぱい僕を知って!」
「十四松君…」
十「で、一之瀬ちゃんのことも教えて。沢山話して笑って、いっぱい野球しよ!!」
「あはは、野球だけなの?」
十「他にも!いっぱい!」
ね?って僕は両手を広げる
おいでって言わなくても一之瀬ちゃんがポフッと飛び込んでくる
十「僕、これからも嫉妬するかも知れないけど、いい?」
「うん、十四松君の好きの裏返しだもん」
こんな僕を正面から受け止めてくれるのは、きっと一之瀬ちゃんだけなんだろうな
掴み所が無いって言われて、兄さん達に嫉妬して
そんな僕だけど、これからもずっと
十「大好きだよ、一之瀬ちゃん!」
抱き合って、へへって笑い合う
僕の毎日を、君の毎日を笑顔で飾れますように
-fin-