第3章 僕だって*十四松
side.十四松
今日は一之瀬ちゃんが遊びに来てくれた
のはいいんだけど、兄さん達も皆いるから一之瀬ちゃんは囲まれてる
皆で楽しそうに話したり笑ったり
僕はそんな光景を見てると、胸がチクッとした
嫌だな、思うけど口に出せなくて居間を出る
十「なんだろ、これ…僕ってこんなんだっけ」
よくわからないけどモヤモヤしたまま2階へ上がり、部屋のソファーで膝を抱えて座る
あ、一松兄さんみたい、なんて呑気に考える
十「ヒヒッ。こういう時'ボク'ならどうするかな…」
一松兄さんの真似をしてみるけど、分かんない
そりゃ、僕十四松だもん
頭をフル回転させて不意に思い出した
そういえば前にトド松が言ってた
ト『男の嫉妬は女々しいよね~。ヤキモチも程々じゃないと嫌がる女の子もいるし』
嫉妬…これ嫉妬なんだ
どうしよ、一之瀬ちゃんに嫌われちゃう
そこまで考えた時、襖が開いた
「あ、いたいた。急に居なくなるから心配したよ?」
十「一之瀬ちゃん…」
何となく居心地が悪くて俯く
「どうしたの?私何かした?」
十「違うよ!僕、僕ね。君に嫌われたくないんだ…」
「嫌う?私十四松君のこと大好きだよ!一緒にいると楽しいもん」
真っ直ぐ僕をみて言う一之瀬ちゃん
すごく嬉しい。僕も同じだもん
十「でも僕、兄さん達に嫉妬したんだ」
「へ?」
十「下で皆で楽しそうに話したりしてるのみるの、嫌だった。でもトド松が男の嫉妬はよくないって」
「トド松君がどういう状況で言ったか分からないけど、私は嬉しいよ?十四松君の嫉妬」
ん?嫉妬ってよくないんじゃないのかな…一之瀬ちゃん嬉しいって何でだろ
「十四松君、猫目だよ」
十「嬉しい、何で?」
何か片言になった
「好きだから嫉妬するんだもん。その人に興味も気持ちもなかったら、何をしてても気にならないし」
そっか、僕一之瀬ちゃんが好きだから、僕をみてほしい·僕と笑ってほしい
だから兄さん達に嫉妬したんだ
「十四松君も嫉妬するんだね」
十「も?」
「うん。私もね、お兄さん達に嫉妬、するんだよ?」
顔を赤らめ、切なそうに瞳を揺らしながら言う一之瀬ちゃん
「私の知らない十四松君を沢山知ってるもん」
知らなかった
そんな風に思ってたなんて