第19章 囲う*カラ松
?「止めるんだ、一松」
一「・・・・」
廊下から差し込むだけの光しかなかった部屋に、明かりが点く
それと同時に一松さんが手を離した
ホントに医務室だったんだ、と頭の片隅で考える
声がした方をみるとカラ松さんが立っていた
カ「大丈夫か、一之瀬」
優しい口調で問いながら近付いてきた
「・・・はい」
頭に手を置き、少し屈んで顔を覗き込まれる
カ「何で部屋を出た」
「カラ松さんの、怪我・・・血が出てるから」
怖い人達だと思っていたのに
でもこの人はそんな中で私を助けてくれた
だから私が出来ることはしたい
「心配・・・なんです」
カ「一之瀬」
少し困ったような、はにかんだような複雑な顔をするカラ松さん
そんな顔しないで、胸がキュッとなる
一「てかさぁ」
なんだかいい雰囲気だった空気をぶった切るように一松さんが口を開く
一「それ今朝の傷だろ?俺が応急手当した時かすり傷だったし、風呂入って血が滲んだだけで何ともないはずだけど」
「え?」
一松さんからカラ松さんに視線を戻すと、目を反らされた
「どういうことですか?」
カ「あぁ、いや・・・その、痛みもほとんどなくて忘れててな。流石に傷を下にして寝ていたら痛かったが」
紛らわしいと怒りたくなったが、安堵の方が大きかった
「よかった・・・」
?「あれ~。こんな時間に何してんの、お前ら」
少しだけ間延びした声に、また部屋の空気が変わる
カ「おそ松か」
お「お、一之瀬ちゃんいんじゃん。ど?カラ松とはうまくいってる?いやぁ、自分が買うとか言い出した時はビックリしたけど、まさか一目ぼ」
カ「わーーー!兄貴!!」
ペラペラと話すおそ松さんにとびかかり、口を塞ぐカラ松さん
一「なんだ、まだなのかよ。ヘタレだな、クソ松」
お「ほんと、とっくだと思ったのにぃ」
え、なに、なんの話をしているの
頭に沢山のハテナマークが浮かぶ
一「だからさっきカマ掛けたのに引っかかんなかったのか」
「あの・・・意味が分からないんですが」
お「ま、後はカラ松次第でしょ」
一「だね」
それだけ言うとおそ松さんと一松さんは部屋を出て行った
二人きりで部屋に残され、沈黙が続く
カ「と、とりあえず・・・部屋戻るか」
コクリと頷き、医務室を後にした