第15章 振り向いて*おそ松
かくして試験を終え、結果が張り出される
いつもより順位はいいものの、到底チョロ松には届かない
チ「あれ、おそ松兄さん、珍しく順位上げたね」
お「ん~?まぁね、俺だってやれば出来るのよ?」
チ「いや、自慢にならないからね?」
お「はいはい、いーの」
試験は終わり、俺の恋も終わり・・・かな
「おそ松君」
全てを諦め、その場を離れようとした瞬間に呼ばれた
お「なに?どったの」
努めて明るく、いつも通りに答える
「ちょっといいかな」
お「あぁ」
どことなく真剣な彩
茶化せなくなった
お「チョロ松、ちょっとはずすわ」
チ「わかった」
彩についていって、屋上に出た
なんだろ、わざわざ負けたわねとか言われるのは勘弁してほしい
「残念だったね・・・あんなに頑張ってたのに」
お「へ?」
あんなに頑張ってたって、あたかも見ていたような言い方
「駅裏の図書館、私よく行くんだ」
お「マジかぁ」
カッコわりぃ、見られてたんか
「勉強苦手なのに、行く度にいるんだもん。頭ガシガシかいて、イライラしてるんだなぁって」
そこまで言って彩はクルッと後ろを向く
「そんなに頑張るの、私のためなのかなって思ったら・・・嬉しくなっちゃって」
やっぱ諦めるなんて無理だ
彩を後ろから抱き締めた
お「無理だって、無駄だって思った。でも、彩のこと本気だから」
抱き締めている俺の手を、上から握られる
「おそ松君、一之瀬だよ」
お「ん?」
「チョロ松君から乗り換えたって思われても仕方ないけど、私おそ松君のこともっと知りたいの・・・だから名前で呼んで」
耳が赤い
チョロ松から乗り換えたとか思わない
むしろ俺がチョロ松から奪ったに近い優越感がある
お「もう俺のもんだかんな、一之瀬」
一之瀬の体を翻させ、正面から抱き締める
彼女も俺の背に腕を回す
諦めなくて良かった
お「チョロ松に自慢してやろっと♪」
「え、やめてよ。恥ずかしい」
お「やだ、俺の彼女可愛いだろって言うもん」
「もぅ」
ごめんな、相棒~
今日この日から、一之瀬の視線も心も俺が独占するんだ
俺が彼女に独占されているように・・・
-fin-