第2章 その顔が*おそ松
side.一之瀬
珍しく平日に休みが取れた今日はおそ松君とデート
私の希望でゲームセンターに来た
お「おー、ゲーセン久々~」
「そんなに人いないね」
そんなこと言いながら、手を繋ぎ店内を回る
お「なんかやりたいもんあんの?」
「んー・・・あ!あれ可愛い!」
おそ松君と手を繋いでるのも忘れて目線の先へ走る
お「ぉわ!ちょ、お兄ちゃんコケちゃうよ?!」
見つけたのは少し大きめの熊のヌイグルミ
お「これ?かわいい?」
「うん!」
お「ふーん」
興味無さそうに返したおそ松くんを横目に小銭を出す
が、チャラリン♪と軽快な音が鳴る
顔を上げると、おそ松君が真剣な顔で操作していた
「あれ、興味無いんじゃないの?」
無言でガラスの中を見つめるおそ松君
お「ありゃ」
アームは空のまま戻ってきた
お「もうちょいだったのによぉ」
文句を言いながら小銭をいれ、また真剣な顔をする
カッコいい、なんて言ったらどんな反応するかな
なんて考えてたら不意に呼ばれた
お「一之瀬!取れた!」
さっきとは打って変わって無邪気な表情をみせる
「わ、すごい!」
ほら、って差し出されたヌイグルミを抱き締める
「ありがとう、おそ松君」
お「へへ。俺さ、お前がそうやって笑ってくれるなら色々頑張っちゃうよ?」
鼻の下を人差し指ですり、えっへん!と言わんばかりに背を反らせて言う
お「ま、俺と同じ赤色だし、ちゃんと大事にしろよ?」
今度は優しく微笑みながら、私の頭を撫でる
あぁ、こんなにも表情が変わるのは、私と居るからか
そんな自惚れが心に広がる
どんどん変わる表情が好き
それをカッコいいとも可愛いとも思える
もっと色んな表情が見たい
だって
「大事にするよ。大好きなおそ松君が取ってくれたんだもん!」
そう、あなたが好きだから。あなたの表情も好き
お「なっ・・・お前なぁ」
口元を手で隠して視線を逸らす
顔をみると心なしか赤い
お「一之瀬って天然?」
じゃなきゃ小悪魔だわ、なんて言ってるけど楽しそう