第9章 君の視線*一松
side.一之瀬
先生「はい、じゃあクジの番号のとこに移動しろー」
先生が言うと各々が机をガタガタ動かし始める
2学期が始まって初めの席替え
「よいしょっと」
自分の場所まできて座る
一「…はぁ、めんど」
ズルズルと机を引き摺ってきて呟くお隣さん
「松野君なんだ、よろしく」
一「一松でいい。誰呼んでるか分かんないし」
言うなり腕を枕にして突っ伏してる
少しだけ顔をこちらに向けて
一「…邪魔しないでね」
なんて言ってるけど、いいのかな
一松君てよく寝てる気がするけど
私のいらない心配を他所に、スースーと寝息をたてる一松君
六つ子の誰かと同じクラスになって、初めて近くになった
珍しさと興味が沸いてジッと見てしまった
意外と長い睫毛
スベスベでプニプニしてそうなほっぺ
無造作にボサボサなのに、髪質はよさそう
んー、私女子なのに色々負けてそう…
先生「よし、じゃあ授業始めるぞ」
ハッとする
興味があったとは言え見すぎたかな
よかった、一松君寝てて
視線を彼から反らして授業に集中する
眠ってるはずのお隣さんが薄目で自分を見ているとも知らずに…