第5章 出逢えた*カラ松
名前を知ったあの日から、日曜の公園デートが始まった
デートと言っても二人で話をするだけ
それでも一之瀬が笑ってくれるから、俺としては充実した時間だった
カ「でな、その長男が…」
「フフッ、本当ですか?」
他愛ない会話
兄弟のこと、テレビのこと、お互いのこと
それでも話題は尽きなくて時間はすぐに過ぎてしまう
「あ、もうこんな時間。楽しいから早く過ぎちゃいますね」
カ「…そうだな」
今日別れればまた長い1週間が始まる
そう思ったら気が滅入る
カ「なぁ、一之瀬」
彼女を見据える
カ「好きだ」
「え、あの」
カ「俺と付き合ってくれないか…?」
そこまで言った時、一之瀬が俯いた
あぁ、ダメか
なかっとことにしてくれ、そう言って帰ろうとした
「あの、よろしくお願いします」
顔を上げた一之瀬は、泣きそうなようなはにかんだような、複雑な顔をしていた
「初めはドジな人だなって思ってたんです」
あんな出会いだからな、仕方ない
「でも、優しくて面白くて会う度に色んなカラ松さんが見れるから、どんどん気になっちゃって」
そこで彼女の言葉が切れる。俺が抱き締めたからだ
モゾモゾと腕の中で身動ぐ一之瀬
そんな動作も愛しい
カ「やっと出会えた、マイ スイート」
耳元で囁き、頬にキスをする
顔を真っ赤にしてこちらを見ているが、構わず今度は唇にキスをした
軽く触れるだけのキス
唇離すと
「好きです」
少し潤んだ瞳でそんなことを言われたら、男としては抑えられない
一之瀬の後頭部を押さえつけ、噛みつくように唇を合わせた
「あっ」
驚き声を上げた隙に舌を滑り込ませる
「ん…ふ、はぁっ」
鼻にかかったような、くぐもった声が更に俺を煽る
角度を変えて何度も深く口付ける
どれくらい経ったろう
一通り彼女の口腔内を堪能し、唇を離す
苦しかったのか、肩で息をしている一之瀬
カ「すまない、大丈夫か?」
片手で腰を支える
やはり細くて、力加減を間違えたら折ってしまうかもしれない
「だ、大丈夫です。初めてでビックリしただけです」
カ「なら、これからの一之瀬の『初めて』は全部俺がもらおう」
「返品しないでくださいね?」
カ「そんなことするものか。やっと運命の女性(ひと)に出会えたんだからな」