第4章 羨ましい*チョロ松
何て言われるんだろう
ドキドキして逃げたくなる
チ「えと、ホントに?…僕でいいの?」
「松野さんがいいんです」
チ「チョロ松」
「へ?」
突然会話を切るように言う松野さん
心なしか不機嫌に見える
チ「俺の名前。それで呼ばないと、松野さんじゃ伝わらないね。後5人いるから」
そんなにお兄さんがいるの?!
本当になにも知らないんだな、なんてどこか他人事のように思う
チ「はい、もう一度」
「あの、なんかキャラ違いませんか?」
チ「いいから」
「はい…チョロ松さんがいいんです。これから貴方のことを知っていきたいです」
ここまで言って振られてしまったら、どうしたらいいんだろうか
期待が膨らんでしまった今、考えが及ばない
チ「こんな僕だけどヨロシクお願いします、一之瀬さん」
「名前知ってたんですか?」
チ「常連のおじさんが呼んでたから」
名前を知っていた、そんな小さな事がこんなに嬉しいなんて
これからこの高鳴りをどれだけ感じるんだろう
そして、自分がチョロ松さんの胸を高鳴らせたい
「好きですよ、チョロ松さん」
微笑めば、ありがとうって言って手を握られる
今は『にゃーちゃん』に敵わないかも知れない
でもいつか、彼女に並べるくらいになりたい
チョロ松さんに対する想いは彼女には負けないはずだから
『好きだよ』って貴方に言ってもらえるように
-fin-