第1章 滅ぼすは罪
コツ、コツ、コツ…
闇に響き渡る少し高音のブーツ。
その夜を支配しようかというほどに黒いコート。
耳には鎌のピアス。
白く細い腕が支えるのは身長ほどの鎌。
もう一つは黒く大きな書物。
使い古されているせいか、表紙の字は半分ほど読めない。
漆黒の世界を歩いては、他人の罪を裁くことを生業とする
罪滅ぼし、それが彼の仕事である。
人に死を与えた者、人から奪ったもの…
例え、どんな罪であれ罰を与えるその姿から
“人に化けた死神”
そう呼ぶ人々さえ現れ始めた。
それでも、罪を裁くことは決して止めない。