第3章 Episode2 #悪夢
『私は………』
私自身が
『大嫌い……』
だって、素性の知れない私なんて……
『気持ち悪い………大嫌い!!』
私は気づけば厨房から逃げる様にして出ていた。それからのことは覚えていない。我に返った時にはすでに、全く知らない場所に来ていたから。
日曜日。
両親と両手を繋ぎながら無邪気に笑う子供。仲良さげに歩くカップル。
そんな中に、独りの私。
あーあ。
嫌いだなあ。
私は私が大嫌いだ。
*
*
*
【───side】
「season………」
ここか、あいつのいるトコは。
俺は手に持ったチラシと店を交互に見る。
「迎えに来たぞ、ミネ」
ぼそっと呟いてみる。
もちろん、誰にも聞こえないように。
昔一緒にした、お姫様ごっこの延長線上みたいだ。なんて、ガキすぎるか。
扉に手をかけようとすると、いきなりそれが勢いよく開いた。その拍子に、扉に取り付けられた鈴が少し乱暴に音を立てた。
「うおっ」
中から出てきた人にぶりつかりそうになるが、ギリギリで避ける。
「あ………」
すれ違いざま、肩までのショートカットの髪が風に吹かれ、顔が少し見えた。一瞬しか見えなかったが、あいつで間違いない。
思わず、頬が緩んだ。
「みーつけた♪」