第2章 Episode1 #約束
『すみません、調子に乗りすぎました。冗談はこれくらいで』
私の言葉に安心したのか、梶さんがほっと胸をなで下ろす。まだ顔の熱は下がらないみたいで、まだ少し赤くなっているけど。
『これからは砕けた口調で』
その言葉を聞いた彼は、すごく柔らかな笑みを浮かべた。これが本来の彼の笑みなのだろうか。
「あははっ、よろしく」
明るく弾けるような笑い声を上げながら、彼が私に手を差し出した。握手を求められているのだろう。
私は少し戸惑った。
でも、それはほんの一瞬。彼に悟られないほどの一瞬の間だった。
『うん、よろしくね』
私はそっと彼が差し出した手を握った。
冷たい私の手とは違って、彼の手はすごく温かかった。私とは全く違う。温かで、しっかりとした自信を持っていた。