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君の音、僕の音。〜梶裕貴〜

第1章 Episode0 #すべてのはじまり


私が開いているパン屋、〈season〉は高い高層ビルに囲まれた中にぽつん、とある。そのおかげで、昼食が目当ての社会人、学生が多く通ってくれている。だから、お昼時はとても忙しい。

当店の人気はこだわりメロンパン。
全てのメニューにこだわっているけど、特にこだわりを持っているのがこのメロンパン。そして、当店のパンは全て手作りのオリジナルメニュー。


………ただいまお昼時。
つまり、とてつもなく忙しい。


『柚葉(ゆずは)ちゃん!レジお願い!海斗(かいと)くん!このパン並べて!』

バイトの子も店員も店長の私も大忙し。
知らず知らずのうちに早口になる。
でも、皆もそれに慣れたせいか一回で聞き取ってくれる。うん、チームワーク完璧!

「店長!」

私が今から作るパン生地をこねていると、店員の美玲(みれい)ちゃんが焦ったように小走りして近づいてくる。

『どうしたの?』

私が顔を上げて、なにがあったのか問うと、少し気まずそうに美玲ちゃんが口を開いた。

「私、うっかりしちゃってて………バターを仕入れるの忘れてました!!ごめんなさい!」


本気でやばいやつじゃん………。
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