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俺のコタンは、あなたの腕

第4章 全戦全勝の男




来るかなぁ。
来て欲しいなぁ。
金がそこをつきている。
昨日も一応仕事をしたが、あの時化た客の財布じゃ三食食ったらおしまいだ。

さて、今朝呼びこみをした性欲の強そうなガタイの良い男。
良いスーツに身を包んでた。
ありゃぁそれなりな金を持ってるぞ。
3日、4日は客を獲らないで済みそうな金が欲しい。

商売道具の上で寝る気にはいつもならない。
寒いが畳みの上で蒲団だけを被って丸くなる。
あぁ、早く来ないだろうか。

「ここか?おい。男。」
「ん!お客さんかい!いらっしゃい!」

飛び起きてかんぬきを開け、扉を開ける。
すると目の前にあったのは今朝方呼び込みをした客。

「あんさん!」
「やりにきたんじゃない。今日はどこもいっぱいだと言われてな。」
「それでここにきて、やりに来たんじゃないと?そらおかしいぜあんさん?」
「紹介してほしい。お前ここらじゃ顔が広いんだろ?」
「そうでもないさ。」

あからさまな、期待はずれだという顔。
まぁ、そこらの女が手いっぱいでここに来るんだったら、一回やってきゃいいんだ。

「俺以上の上玉はいないぜ?」
「まず、男だという時点で評価はダダ下がりだ。」
「抱いた事もないくせに?」
「抱く必要がどこにある。」
「経験さね。」

突っ立っているな。と部屋に招くと案外と素直に部屋に入ってくる大男。
しかし、褥には近づかず扉の近くに腰を降ろした。

「女を連れて来い。」
「あんさんもシツコイね。まぁ、あんさんはどう見ても、女好きって顔。」
「あぁそうだ。俺は女が好きだ。」
「どこへ聞いて回ったんだい?仕方ないから検討を付けてあげるよ。」

大男は俺が知る限りの紹介人や、娼館、娼婦に当たったようだ。

「うーん。望みは無いね。俺が口を聞けるのはもう出ちまっているし。女の知り合いは少ないでね。」
「明日まで待てん!!!」
「あ、いや。そう言われてもね。」

待てーーーーーーん!となぜか立ち上がり、ふんぬ!と胸を張る大男。
なんだこいつ。
なんだ、こいつ。
まぁ、身なりも良い。
金に糸目をつけるような感じではなかった。
こりゃもういただきますしかない。

「じゃぁ、今日は俺の尻で我慢しな。婀娜っぽく頑張るから。」

頑張るから。
ガンバルカラ。
言った俺が間違いだった。


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