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俺のコタンは、あなたの腕

第23章 ここで会ったが何回でも



俺はな、意外にも売れっ子なんだよ。
え? 知ってた?
そうか、なら別にいいな。

まぁ、売れっ子だから、毎日毎日尻が埋まっているわけでして。

「よう、白石じゃねえか」
「あ、いやぁあああああああ!!」
「逃げんな、コラァ!」

たまたま入った食堂で、顔見知りを見つけ、にっこり営業スマイルで話しかけただけだ。
それなのに、一言もこちらの言い分を聞くことなく逃げるとはずいぶん失礼な奴だ。

「逃げるだろ! お前見てぇな奴につかまると体と心が持たねえんだよ! 特に心!」
「知らねぇよお前の心のことなんざ。ところで、俺の体と心の話なんだが」
「他人の話!!」

むんずと白石の首根っこをつかんだまま、食堂の店員のきつい視線をもらいつつ、先ほどまで白石が座っていた席にお邪魔する。

「違うんだよ。頼みがあるんだよ」
「犠牲を伴うような頼みは受け付けねぇからな。あと、酒の絡むやつも」

うーん、いったいこいつは何を言っているんだ。
あの時ただ酒を飲んでおいて、そんなことを言える立場じゃないだろうが。

「いやいや、特に難しい話じゃねぇよ」
「……本当か?」
「うん。本当」
「本当に本当か?」
「うん」

白石のくせに俺のことをジト目で見つめてくる。
白石のくせに生意気な!掘るぞ!




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