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俺のコタンは、あなたの腕

第21章 伝わってる?




「うらやましか」
「は?」

俺が問い返したのは、俺より少し肌の黒い鯉登少尉。
久しぶりに旭川に付いて、夕食を取るために食堂へ入れば懐かしい顔があった。
声を掛ければ突然「うらやましい」だ。

「なぜお前は軍を辞めたのに鶴見中尉とたまにお会いしているのだ」
「はぁん、それでうらやましいか。いっそのこと鶴見さんの前で脱いでみたら?」
「脱いだ事はある。しかし、あの時は裸を見せるためではなかったが」

鯉登は薩摩の出身だ、酒もまぁまぁ強いらしい。
しかし、今日はなんだ。

「随分絡み酒だな」
「ぬしゃ良か、顔もよか、腕っ節も強か、あぁああああうらやましかぁあああ」
「お前はほんと鶴見さんが好きだな」
「あぁああああ……」

まだ酒の入っているお猪口をぎゅうと握りしめ「ぐぅ」と寝息を立て始めてしまった。
仕方なく俺の宿へと連れて帰ってやったが、こいつを襲う気にはなれん。
顔も悪くない、別にちんこも悪くはないのだろう。
俺の布団で気持ちよさそうに眠っている鯉登は別においしそうでも何でもない。
仕方ない、わざわざ旭川まで足を延ばしに来て床で寝るか。

「……い、」

うん?

「つるみ、ちゅうい」

眠りにつこうとする直前だ。
後ろで眠っていた鯉登が起き上がって寝言を言い始めた。
いや、違う。
俺を鶴見さんだと思っているようだ。

「ほんとうに、いいんですか」
「おい、鯉登」

起きろ。と声を掛けてもまるでだめだ。
寝ている俺に絡み始めた。
ぬるりと俺の身体に手を這わせてくる。

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