第19章 アシリパ
「お二人はアシリパとどういう関係?」
俺のかわいいアシリパに変なことしてねェだろうな。と意味を込め、ちょっとばかし不敵な笑みを向けて見る。
「仲間だ! きん……とあるものを探す旅の仲間だ」
「ふぅん」
「決して! 決して不埒な関係ではない!」
佐一さんや、咄嗟に軍人っぽさを出しても信用ならんよ。
まして、ひとりは脱獄犯な訳だろう?
知らなければ全く信用はならんが、二人は(強制的に)客だ。尻の穴の中まで知り尽くしている。
「まぁ、勘の鋭いアシリパが信用して一緒にいるんだ。俺は信用するよ? でも、ちょっとでもこの子を傷つけようもんなら、分かってるよね?」
(深く深く掘る。めっちゃ掘る。)
((はい! 絶対にアシリパさんを酷い目に合わせません!!))
(よろしい)
「十兵衛? 何の話だ?」
「男同士の積もる話さ。お前はお前の信じる道を進めばいい」
じゃあ、俺は他に用事がある。と立ち上がり、アシリパが物欲しそうに見つめていた、煮干しの入った袋を彼女に渡し、もう一度白石と佐一に視線をくれて、俺は目指すべき場所へ向かって歩き出す。
(アシリパさん、どうやってあの鬼を手なずけたんだ?)
(十兵衛は私の従兄だ)
((……似てない))
(ク・セマシテク)