第15章 4P
「上がって。狭いけど。」
「おじゃま、します?」
「まぁ、家じゃないよ。仕事部屋さね。」
暑っ苦しい着物を脱ぎ散らかしながら、部屋の隅にちょこんと立つ杉元さんに話しかける。
「何でタマなんて探してるの?あんさん、実は変態?」
「え?変態?いや!ちょっとここを離れるから、タマを補充しておこうかと思って。明日の朝には出るみたいだったから。」
「ほじゅう?」
「うん。この銃の弾。」
タマ。
「ごめん杉元さん。俺、馬鹿だわ。職業病だわ。」
「え?はっ!ま、まさか…。」
「金玉探してんのかと……恥ず…。」
お互い初な女の子のように顔を真っ赤にして、顔を合わせられない。
うわー!間違ったの俺じゃん!
「お邪魔しました。」
「まてまてまて!まて!言いふらす気だろう!男娼蜂名はアホだってな!」
「するか!そんな話する俺も恥ずかしい!」
「いやする!絶対する!酒飲んだら絶対するタイプ!口止めする!させろ!」
「いりません!口止めいらないから、俺帰る!帰らせて!」
こいつ!強い!
足を踏ん張り、杉元さんの腕と肩を掴む。
しかし、ちぃっとも動きゃしない。
「ちっ。杉元さん。わかったよ杉元さん。」
「ふぅ。」
「ただし。」
「ただし?」
「あんときの蕎麦代。この事秘密にするならチャラにしてやらぁ。」
「うん?そば、代?いつの?」
俺は体をかがめ、杉元さんの腰めがけてタックルをかます。
「おう!?」
そのまま敷かれっぱなしになっている褥に反り返り、ぶん投げ、彼の腹の上に馬乗りになる。
本当ならな、背中に乗って雄叫びでも上げたい気分なんだよ。
なんたって投げ技は4ポイントだからな。
「今夜の事。ぜってぇ忘れられねェようにしてやるよ。えぇと、佐一?」
「名前!」
「俺はな、基本ネコ役なんだ。」
「ネコ?」
「今日だけは出血大サービスだ。持てる限りの業を尽くして、あんさんの精、絞りつくしてやんよ。」
「えぇええ?!どういうことぉ!」
「こういうこった!」
ア―――――ッ!
(白石。小樽って化け物が住んでるんだ)
(あぁ、知ってるぜ。綺麗な顔した恐ろしい奴がいる)
((小樽怖いとこ、もう来ない))
(ク・セマシテク)