第13章 王、策士にハマ…ハメ…
見つけた店で、盃をぶつけ合うと、白石はぐいと酒を全部飲みほした。
「いけるねぇ。」
次から次へと飲み干して行くもんだから、楽しくてついつい。
いつまでも止まらない白石に少し引きながらも、何処まで飲めるのかと興味が湧いた。
数分もしないうちに酒瓶が一つ空いた。
金の事も気になったがそれ以上に、目の前に居る気の大きくなった男が面白い。
「おう。兄ちゃん。かわいいねぇ。」
「はっは。俺のことかい?嬉しいねぇ。」
「おれは、しらいしってぇんだ!良い名前だろう?」
「あぁ、知ってるよ。」
「数々の監獄を、脱走してきたんだ!はっはー!俺に破れない監獄はねぇ!」
「そーかい、そーかい。」
つまみのスルメをくわえ、ひぇっひぇっ!と笑う様はアホだ。
かの有名な脱獄王とは思えない。
いや、俺の中で脱獄王と考えりゃ、もう少し頭がキレて、理性のある奴だと思ってたんだがな。
ほら、そう言うやつがケツを掘られて、ぐっちゃぐちゃに乱れてるとこ想像してみろ。面白いだろう?
それがどうした。これだぜ。まったく。
「兄ちゃん。飲んでるかーい?」
「まぁな。酒は飲んでも飲まれるなって言うからね。ほどほどに飲んでいるよ。」
「ヒャッハー☆」
「大丈夫かよ白石。よかったら俺の部屋で泊まっていくかい?」
「おう?悪いな!今日は世話になっちゃおうかな!」
「うん。ほいじゃ。」
いただきます。
「ア――――――ッ!」
(ク・セマシテク)