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俺のコタンは、あなたの腕

第11章 WABISABI




「よっす。」
「あ!蜂名さぁん!」
「おい。来て早々刃物でお迎えたぁ気が効いてんな。あ?アホかお前は。」
「ちっ!違います!丁度魚を捌いてたんですぅ!」
「わかった!分かったから振るな!」

久しぶりにニシン場へ来ると、時化で船が出ていないようで、ニシン漁の男たちは皆好き好きに、昼寝や賭けごとに興じる。
辺見さんと言えば、俺は事前にここへ来る日を伝えていたので、何かつまみを作ってくれているところだった。

「いいか?毒なんて入れるなよ。」
「え?入れていいんですか?」
「何でそうなるんだよ。」

時化か。丁度よさそうだな。
なにがって?客だよ客。辺見は客にはならなさそうだから、別の奴を探す。
最近まともな客が居なくて、金が尽きる直前だ。

「辺見さん?」
「はい?」

どうぞ。と目の前に出された小鉢には刺身。横には酒。
しかし。

「箸は無いのかね?」
「よろしければ、その包丁で刺身を刺して、私に食べさせてください。」

何を想像しているのかは聞かないでおくが、興奮している。

「チンポおっ勃ててなに言ってんだ馬鹿。箸持ってこい!箸!」
「え~。」
「可愛くない!可愛くねぇし、ウザい!箸!」
「ウザい…?ウザいと私を殺したくなる?」
「あー、めんどくせぇ。もうどうでもいいし。殺さねぇし。箸。」
「どうしたら私を殺してくれますか?」
「どうしてもお前を殺さねぇし。箸もってこい。」
「箸持ってきたら、私の目玉ぶっ刺します?」
「箸はそう使うもんじゃありません。箸。」
「はい。箸。」

平和。

「あ。美味い。」
「獲れたてです。荒波に揉まれながら釣ってきました。」
「マジ猛者。」

気が利いたことにツマまで乗ってる。
ん?おおば?


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