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俺のコタンは、あなたの腕

第9章 同じ匂い




思わぬ災難に見舞われた。
猛吹雪で前が見えない。
町で暮らしている方が長いとはいえ、これでも一応山に籠って数ヶ月生きることが出来る知識はある。
しかし、銃も弓も刃物もないと来た。
糞詰まり。あ、ちが。手詰まり。

「ワンワン!」
「なんだ?凍死した小熊か?」

声が聞こえる。
おや、運良く生き残ったようだ。
吹雪は俺が倒れてからすぐに収まったと見る。

「人か。生きてる。よく見つけたなリュウ」

俺を助けてくれた犬と人。
猟師だそうで、数日前に仕留めたという羆をご馳走してくれた。

「ニヘイゴハン!」
「わん!」
「あ、いや。嬉しいんだが、もちっと麓の人でも食えるようにしちゃくれんかね?」
「勃起!」
「聞いてる?人の話。」
「わん!」

わん!じゃねぇし。
助けてくれてありがとう。だけど、俺…。腹減ってるけど俺…。
心臓焼きました!じゃねぇんだわ。
どっちかっつうと簡単で良いから、オハウが良いんだわ!チタタプで食えねぇなら、チタタプにしたやつオハウにしてほしいんだわ!
プクサキナがあるとなおいいんだけど!?

「うはははは!うまいか!?」
「あー、はいはい。うまいよ。」

獣くささ満載のニヘイゴハン。
もう料理とは言えないだろう食事をご馳走になり、一晩彼らと過ごすことに決めた。


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