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俺のコタンは、あなたの腕

第8章 ルテホ界世幌札




「ふん。勿体ねぇ。俺が脱がせてやる。黙ってな。」
「優しいねぇ。」

ぬるり。と俺の腰に回される手。
しゅるりとほどけた腰帯。肌蹴る着物。
露わになる俺の身体。

「相変わらず、鍛え上げられた素晴らしい身体だ。」
「そうかい?何にもしちゃいねぇんだけどね。」
「しかし、もう少し肉があってもいい。」
「はは。なるようにしかならねぇさ。」

んちゅ。と俺の乳首が吸われる。
ぽん!と離れれば、満足そうな客の顔。
あぁ。
久しぶりに普通の仕事ができそうだ。

「おやぶぅん!いるんでしょう?!」

ドンドンドン!!と狂気的な音を立てて部屋の戸が打ち鳴らされる。
こいつの部下だろう。

「うるせぇ!今大事な話をしてんだ!すっこんでろ!」
「浮気はだめですよぅ!」
「黙れ!」

あ―――――。
萎えた。

「おやっさん。悪い。」
「え?!」
「あれ。なんとかしてもらわねェと俺だって商売上がったりだわ。」
「ちょ!今!今黙らせるから!」

ふんどし一丁で放置される俺。
おっさんはドタバタと戸に駆け寄り鍵を開け、廊下の人物を怒鳴りつける。

「だってぇ!親分は私だけで十分だって!」
「あぁ、そうだ!そうだが、お前には出来ねぇ手を練習するには、男娼と寝るしかねェだろうが!そうだろう!?」
「一緒に練習するもん!」
「お前が苦しい事になってもしらんぞ!」
「それでもいい!私は親分を愛しているから!」
「姫。」

姫?
ほとんどまっぱで俺は何を見せられているんだ。
安い大衆劇か?あ?
ぱっとしねぇ男同士で。はん!
こんなんだったら、俺と百之助の方がまだ華があるわ。
だろ?

「おい。家永。そこに居るんだろ。こいつら眠らせとけや。俺ぁうんざり。小樽に帰る。」

さっさと服を着てこいつらを部屋に放り込んで、ばたん。と扉を閉めた。
中でドサリドサリ。と二人が倒れる音が聞こえ、ちょっと胸がすっとした。

「無駄に薬を使ってしまったわ。」
「でも、それ以上の金は入るだろ?」
「蜂名。また来てください。今度はゆっくり地下で。」
「遠慮しときます。」

ひ!背筋に悪寒!






(ク・セマシテク)

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