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俺のコタンは、あなたの腕

第7章 新しいともだち




「弟を猪に。」
「はい。」
「死に抗う姿…か。何となく、分かる気はする。獣たちを狩るときに垣間見る。」
「猟師を?」
「いいや。母方がアイヌでね。祖父に連れられて狩りに行った事があるんだ。」
「アイヌの血を引いているんですか。随分お美しいお母様だったんですね。あ、お父様が?」
「どちらもかな。父はめんこい顔をしてた。母はきりっとした美人だったよ。そうだ、あんさん。名前は?」
「わ、私は辺見和雄。あなたは?」
「蜂名十兵衛。」

よろしく。と互いに握手を交わし、仲直り。
仲直り?
その後ニシンを貰って、きっと激おこプンプン丸であろう百之助の所へ戻る。

「ただいま!」
「遅い死ね。」

この扱い。
あれ?
俺、辺見さんの所に戻りたくなって来た。
辺見さんが恋しいっておかしい?

それから俺は、暇さえあれば辺見さんの所へ遊びに行くようになっていた。

「蜂名さぁん!見てください!砥ぎたてですよ!玉切り包丁!」
「いっらねぇよんなもん!白飯持ってこい!白飯!」
「あン!」

がこん!と粕叩きの柄で尻をぶん殴ってやると、変態だから喜ぶ。
俺はストレス発散。
辺見さんは気持ちよくなる。
なんてったっけ?
一石二鳥?
まぁいいや。

「お茶漬けで良いですか?」
「うん。すまんな。」
「じゃぁ、熱いお茶を。」

そう言って辺見さんは俺に向かって手の平を差し出す。

「熱い、お茶を?」
「私にもかけてください。」
「アホかーーっ!」





(ク・セマシテク)

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