第5章 まとも。まともか?
「で?」
「で?」
「いや、あんさんの名前。」
「えっと。」
「なんも悪いことに使おう何さ思ってないよ。客の名前はあまり聞かないが、一期一会の出会いにゃ名前ぐらい聞きたいだろ?」
「……杉元、杉元佐一。」
「ふん。よろしくな杉元さん。」
手を差し出せば、あちらも大きな掌を差し出してくる。
しかし俺の手は杉元の手は掴まず。
「えぇえ!!?」
「うん。まぁ。いいおっきさ。勃起すりゃ結構おいしそうだと思うよ。」
「なにしてるの!」
「ナニの確認。」
「やめて!さするな!」
「いやぁ。俺最近いろいろ消化不良でさぁ。人助けと思って、ヤってくれない?」
「ヤりません!さするな!」
はいよ。と飯屋のおばちゃんが、またやってるのか。と冷たい視線を俺に寄こしながら、俺達の前にニシンそばを二つ置く。
「うんま。いつもの味。」
「うん。おいしい。ねぇ、もう、さするのやめない?」
「おっきくなったとこ見たいじゃん?」
「見せたくないけど?」
「俺は見たいのよ。」
「さするな。食え!」
うーん。せっかくいいチンポだと思ったんだけどなぁ。
仕方なく杉元の杉元から手を離して、ニシン蕎麦に集中する。
ズルズルと啜っていると、杉元に客が来たようだった。
随分激しく店の外へ飛び出して行ったが、外の奴も杉元も大丈夫だろうか。
なんか、凄い音するけど?
あれ?待ち合わせは娘って言ってなかった?今来たの軍人だよね?
急いで自分の分と置いて行かれた杉元の分の蕎麦を食って、外を覗く。
「ありゃ。誰もいねェ。」
「蜂名。お勘定。二人分。」
「えぇ!?あっちのはあっちに付けとけよ。」
「あんたの客だろ?つべこべ言わずに払いな。」
「きびっしいなぁ。もう。ハイ、ごちそうさん。」
「まいど。」
くそ!食い逃げかよ。
きっとあいつは軍人の皮を被った囚人の仲間か何かだろ。
次会ったら、あの手この手で金を絞り取ってやる。
待ってろよシサムこの野郎。
絶対にお前のチンポ言わしてやる。
ケツの穴解して待ってろよ。
杉元この野郎。
(ク・セマシテク)