第3章 洗脳ハートⅢ「俺が護るよ」
真選組屯所内、医務室に奇声が響く。
「真衣ちゃァァんんんんん!!!」
「こっ、近藤さん...」
目が覚めると真っ先に視界に入ってきたのは
眉尻を下げ、困っている様な、泣きそうな
何とも言い難い表情をした近藤さんだった。
「んもォォォ!!何で無茶したのォォォ!!?」
「だ、だって...」
「だって、じゃないでしょォォォ!!」
近藤の反対側には土方がいて、その隣には沖田も座っている。
真衣は挟まれる様に敷かれた布団の上で
上半身だけ起き上がった状態のまま縮まっている。
近藤は怒っていると言うよりは心配している様子で
ひとしきり叫ぶと、困ったようにため息を吐いた。
「...だがまぁ、生きてて本当に良かった。
無茶をさせてすまなかったな、真衣ちゃん」
「いえ...私の責任です。すみません...」
「いや、すまねぇ、近藤さん。
今回の業務を真衣に任せた俺の責任だ。」
「すいやせん近藤さん、土方が油断しなけれりゃ...」
「お前ぇは少しは自粛しろォ!!」
次々と言葉が飛び出てくる。
独断で動いたのは、本当に咄嗟のことで、
近藤さんも土方さんもあぁ言ってくれているけれど
軽率な判断を取ってしまったのは私だ。
真衣は自分自身を後悔しながら叱る。
「...次からは、気をつけます。」
肩を落としてそう言えば、近藤は
俯いた真衣の頭にぽんっ、と優しく手を置いた。
「真衣ちゃんは俺の家族なんだ、仲間なんだよ。
だからもっと頼ってくれりゃいい。
お父さ...いや、パパと呼んでくれても良いんだぞ!
そしたら俺真衣ちゃんのこと毎日見守っちゃう!」
「え、あ、はい...?」
「近藤さん、良い事言ってるつもりなんだろうが
後半がセクハラ染みてる。」
「セクハラ以前にストーカー宣言してまさァ。」
なんて冗談交じりに言われるも、その優しさが胸に染みる。
真衣の心中も段々と明るさを取り戻す。
暫くして解放された真衣は医務室の前で
近藤、土方、沖田と別れて自室に向かった。
近藤さんが言ってくれた、"家族" "仲間"
傷はまだ痛むが、足取りは幾らか軽かった。