第9章 其々の戦い
黎side
武田先生の言葉に私は驚いて固まる。
貴「あ、あの。ネコマって、あの音駒ですか?」
影「お前、知ってんのか?」
貴「…私の友達が通ってる学校…多分。」
中学の時、男子バレー部の一員だった長身のワンコみたいな男の子。彼は確か音駒高校に進み、バレー部に入ったはずだ。
西「確か烏養監督がいた頃よく練習試合をしていた高校っすよね?」
西谷先輩の言葉に、3年生が頷き烏養監督の思い出を話していて、何故か1年も話に加わっている中、独り話についていけない私。
貴「あの…そもそも、烏養監督って誰なんですか?」
影「お前知らねぇのか?!名将を!」
貴「うん。私今年東京から引っ越してきたばっかだし。」
「「「えええ?!」」」
あー、言ってなかったね~(・・;)
まぁ、何だかんだで烏養監督の話に無事戻ったところで、私はその監督がどれだけ凄いかを思い知る。
澤「当時、無名だった烏野バレー部を全国まで連れていった名将。烏養って名前が有名だった。」
菅「狂暴な烏を飼ってるっつってな!」
貴「お、おお。なんか凄い。」
先輩方の話から、私の頭の中で形成された烏養監督の想像図が、恐ろしすぎて…うん、武田先生で良かった。
田「そんで、その頃烏野のライバルが、東京の音駒だったんだよ!人呼んで、"名勝負!!猫対烏、ゴミ捨て場の決戦"っつって!」
貴・月「ホントに名勝負だったんですか?それ。」
(うわお。ハモった。)
最近よく月島君と意見が合うのは…まだちょっと複雑。
澤「でも、最近は全く縁がなかったのに、どうして急に…。」
武「烏養監督と親交があった猫又監督が復帰されたという事で、此方から連絡をしてみたところ、練習試合を受けてくれました!」
田「さすが武ちゃん!!」
武「それに、どうしても復活させたかったんです!"ゴミ捨て場の決戦"を!」
武田先生の言葉に、皆はハイテンションだ。そんな皆を見て、私も何だか楽しみになってきた。
武「…これで彼も動いてくれるはず。」
武田先生の呟きは、誰にも気づかれないまま、暗くなり始めた空に吸い込まれていった。