第9章 其々の戦い
私達の自己紹介と疑問符満載の会話が終わると、東峰先輩は私達を見て笑顔になる。
東「そっか、頑張れよ。」
(え?頑張れ、よ?)
日「一緒に頑張らないんですか?」
東「え。」
日「俺、エースになりたいです。だから、旭さんのプレー見てみたい!」
東「…俺はもう、エースじゃないよ。」
菅「?!旭!」
菅原先輩が東峰先輩の肩を掴もうとしたとき、東峰先輩は他の先輩に呼ばれて菅原先輩から離れていく。
影「…あの、怪我とかですか?」
菅「いや、旭は…バレーを嫌いになっちゃったかもしれないのが問題なんだ。」
日「え?!あんなに大きくて、エースって呼ばれてるのに?」
貴「…日向君みたいだったら、こんなことになってなさそうね。」
菅・影「いえてる。」
日「え?え?」
菅原先輩は、私達に3ヶ月程前の出来事を話してくれた。
烏野は伊達工業という、鉄壁のブロックを要するチームと公式戦で戦った。菅原先輩はセッターとして、東峰先輩はエースとして、試合に出た。
菅原先輩は3枚ブロックとも勝負できる東峰先輩にボールをあげ続けた。東峰先輩も俺が打つと、ボールを呼んでいた。でも、相手の鉄壁は崩せなかった。そして、東峰先輩の"気持ち"が折れてしまった。
菅「旭は…人一倍責任を感じちゃう性格だから。」
貴「……」
影「そう、だったんですか。」
日「…」
私達は菅原先輩と別れて、教室に向かっていた。先輩達の過去を知って、3人とも言葉がでない。暫く黙ったまま歩いていると、
日「…こっち側はもれなく味方なのに、こっち側がぎくしゃくしてるのは…嫌だな。」
貴「…」
影「…」
私達は各々の教室に向かう。
先輩達の問題に私が踏み込んで良いとは思わない。でも、もうチームメイトだ。仲間が困ってる時は助けたい。
晴れない気持ちのまま、私は教室の中に入っていった。