第9章 其々の戦い
武田side
バレー部のみんなが下校したあと、もう見慣れた電話番号のメモを握り締めて受話器を耳にあてる。
聞こえるのは、少し掠れた僕よりもずっと男らしい声。
?「またあんたか。」
武「ええ。いつも電話ですみません。」
?「何回言ったら分かる。コーチの件はずっと断ってるだろう。」
武「お願いします。バレーの経験があって、彼等が頼っていける様な器量がある方は、貴方以外に見つからないんです!」
?「…な、何言われてもな!俺はプレイヤー専門だ!!こ、コーチなんて出来ねぇよ!じゃあな!」
"ガチャ"
うん。少し手応えがあった。褒める作戦。
これは、彼等のプレーを彼に見て貰う方が早そうですね。きっと僕以上に食いつくはず!
武「諦めませんよ。烏養くん。」