第8章 守護神
黎side
清水先輩が西谷先輩を避けると、西谷先輩は盛大に体育館の外へ飛んで行った。なんとか3世って言う泥棒のアニメのようだ。不二子ちゃ~ん…みたいな。
菅「本当にうるさい奴だなぁ。」
澤「確かにうるさいが、プレーは本当に静かだ。」
貴「??」
西谷先輩が戻ってくると、澤村先輩が部活を始めようと動き出す。みんなもキャプテンの後に続く。
そのとき、西谷先輩の一言が、みんなの動きを止めた。
西「旭さんは戻ってますか?」
澤「…」
菅「…」
旭さんの名前が出ると、澤村先輩と菅原先輩が凄く辛そうな顔をしていた。私達が部活に参加してから姿を見たことも、会話に出たこともなかったから、そんな名前の人が居ることすら知らなかった。西谷先輩以外にも、特別な理由で休んでいる人が居るのだろうか。
澤「…いや、まだだ。」
澤村先輩が俯きながら言うと
西「あの、根性なし!!!」
西谷先輩は床に向かって大声で怒鳴った。
田「おい!ノヤ!先輩をそんな風に言うんじゃねぇ!」
西「うるせぇ!根性なしは根性なしだ!旭さんが戻んねぇなら、俺も戻んねぇ。」
田「おい!ノヤぁ!!」
そう言って西谷先輩は出ていってしまった。
体育館には、不穏な空気が漂ったまま。とても部活を始められそうになかった。