第8章 守護神
青葉城西から烏野に戻ってきた私達は、もうすっかり暗くなった夜道を団体で下校していた。
日「じゃあ、また明日ぁ!」
影「おつかれっした!」
澤「おう。お疲れ」
貴「お疲れさまぁ!」
一人、また一人と別れ、今は私と澤村先輩の二人きり。
(今なら…あのときの聞けるかな。)
"…誰にも渡さねぇよ。"
貴「あ、あの。澤村先輩…」
澤「ん?なんだ?」
いざ話そうとすると、ちっぽけな勇気はすぐに縮んでしまうもので、
貴「あ、あの。そのぉ。……」
澤「ん?何?」
貴「しゅ、守護神って誰ですか?(ちがーう!!私のバカバカバカバカぁ!!!)」
こうなってしまうと、もう一度勇気を出すのは不可能である。
澤「ああ。2年でリベロなんだけど、ちょっと部活休んででさ。でもそろそろ戻る予定なんよね。」
貴「守護神って言うくらい凄いんですか?」
澤「ああ。アイツは烏野で唯一天才と呼べる選手なんだ。あ、影山が入ってきたから、今は二人だな。」
貴「そんな凄い選手なのに、どうして部活休んでるんですか?怪我ですか?」
澤「いや…まぁ、教頭とちょっとあってな。」
成る程。あの教頭なら、ちょっと言うこと聞かないだけで問題にして来そうだ。…もしかしてずらが飛んだとか?
うん、無いな。
澤「ま、うるさいやつだけどさ、部活に来たら先輩って呼んでやってよ。凄く喜ぶと思うからさ!」
貴「…はい。」
(田中先輩みたいに強面だったらどうしよう。)