第6章 小心者の緊張
かなり大きい体育館に入ると、沢山の部員達がスパイク練習をしていた。部員達のレベルは高く、とても選手層が厚い事が分かる。挨拶を終えて、アップの準備を始めた頃に日向君が体育館へ入ってきた。
田「お!日向、大丈夫か?」
日「え、あ、はい。」
田「ま、今日は練習試合だし、ミスとか気にしなくて良いからな!俺達もいるし、カバーは任せろ!」
(おお!田中先輩が、良いこと言ってる!!)
田「あ、でも、サーブは1人だからな!ミスるなよ!がははは!」
貴「あちゃー……」
勿論、日向君はトイレにダッシュです。田中先輩は自分のせいなんて、これぽっちも思ってません。
日向君が心配になって、澤村先輩と清水先輩に様子を見に行く事を伝え、トイレへ走る。
目的地へ行くため、廊下を曲がろうとすると、らっきょ君とチャラい人がトイレの前で日向君と話をしていた。私は咄嗟に身を隠す。
ら「影山はどうよ?やっぱ王様やってる?」
(むむむ!日向君!ガツンと言ってやれ!)
日「そんなもんじゃねぇ!影山という独裁者に俺という市民は虐げられ……」
ち「うわ、凄い言われよう。」
(ひ、日向君…)
ら「サーブもレシーブも、上手いことは上手いんですよ!」
日「そうそう!腹立つ」
日ら「「でも、トスはすげぇ(ヒドイ)!」」
ら「……トスが?」
日「すげぇ。」
ら「ああ、お前は試合の時王様のトス打ったこと無いからそう思うんだよ。使えない奴は、即行でポイ。」
日「ポ、ポイ…カタカタカタ」
途中まで大丈夫そうだったけど、らっきょ君の最後の一言で日向君の身体がカタカタいい始めた。日向君がもう限界そうなので声をかける。
貴「日向君、大丈夫?」
日「…あ、風間さん。」
真っ青の日向君のフォローはともかく、らっきょ君には一言申さなければ、私の気がすまない。
貴「影山君は、もう昔とはt」
"ガシ"
ち「君!1年生?」
何故か、チャラい人が私の手を両手で握ってます…。