第5章 決意
黎side
あんなに優しい澤村先輩を、怒らせてしまった。
あんなに………怒らせてしまった。
貴「…ごめん、なさい。」
きっと、聞こえない。
体育館に居る部員の元へ行ってしまったから。
困った顔をした菅原先輩と無表情の清水先輩が私の方を黙って見つめている。きっと、二人も私が今まで言わなかった事を責めているのだろう。
貴「怒られて…当然ですね。」
菅「あのさ、心配掛けたくないとか、特別扱いされたくないとか、色々理由あると思う。でもさ、俺達、特に大地はさ、もう風間も仲間だと思ってるから、だから、怒ったんだよ。」
貴「…仲間。」
菅「そう。入るきっかけ作ったの大地だし、責任凄い感じてると思う。でも、一番悔しいのは、もっと早く気づいてあげられなかった、聞いてあげられなかった自分自身なんだと思う。それは、俺も、清水も同じだけどな。」
清「私はきっと、黎ちゃんの気持ち全部はわかってあげられないと思う。経験したこと無いし。でも、大事な仲間だから、傷付けたくないから…理解したいって思う。」
私は、結局自分の事しか考えていなかったんだ。
先輩方の気持ちも考えずに、きっと迷惑ばかり掛けるとか、今まで言われてきた事を先輩方も思ってると決めつけて……最低だ。
貴「…本当に、ごめん…なさ…」
"ギュウ"
清「大丈夫。一緒に頑張ろう?他の部員には言わないから。その代わり、私達を…沢山頼ってね。」
私は泣きながら、一生懸命頷いた。
私はこの部で頑張ります。
その思いが、伝わるように。