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好きだ。-烏達の恋-

第5章 決意


澤村side

俺は、すが、清水、風間と一緒に体育館を出て、少し歩いた所にある中庭に向かう。今日は土曜日なので、他に生徒は誰もいない。ここなら、風間も話しやすいだろう。


澤「で?なにが不安なんだ?」


風間は少し震えながら、ゆっくり話始めた。


貴「……私には、持病があるんです。

心臓の病気です。」


表現が難しい位の衝撃が、俺を襲う。
あの時、走って倒れたのは病気のせいだったのか。
なんで、勝負なんて無茶をしたんだ。
なんで、俺に言わなかった。
なんで……
俺は言いたいことをぐっと我慢し、風間の話を聞く。

貴「私の場合、原因が良く分かってません。
普通の生活はできます。病状も酷いわけではありません。でも、普通の人に比べて体力も無いですし、激しい運動も出来ません。
急に発作が起きる時もあります。」


それは命に関わることなんじゃないのか。


貴「この間も、300メートル位、大丈夫だろうと走ったら発作起こして…。澤村先輩に迷惑を掛けてしまいました。だから、その……」


(迷惑?)


俺のなかで、細い糸がプツンと切れた。


澤「…迷惑?」

菅「お、おい。大地?」

澤「…本当に迷惑だったら、とっくに追い出してるよ。」

貴「っ」

澤「…お前は俺達を、甘く見てる。お前1人に無茶させて、知らん顔するわけないだろ。倒れるまで仕事させたりしない。別にあの時無茶をして倒れた事も、責めたりしていない。…でも、何で最初から言わなかった!!!!」

菅「っ大地!!」

清「ちょっと、落ち着いて!」


すがと清水が風間と俺の間に入る。
すがの怒った顔を見て、俺はとんでもないことをしたと気づいた。
話している風間は、とても苦しそうな表情をしていたのに。
言うことすら、辛い。そんな声だったのに。
俺は感情のまま、怒鳴ってしまった。


澤「…すまん。」


俺は、部長失格だ。
泣きたくなる気持ちを抑えて、すがに自主練にすることを伝え、体育館へ戻る。



(俺は……何してんだ。)



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