第5章 決意
試合終了後、日向君と影山君が月島君と山口君の所に走る。
嫌な顔してる月島君に、日向君がこそこそと何か言ってるみたい。話の内容までは聞こえないのが、私の不安を煽る。
(喧嘩じゃないよね。)
日「いいから!握手しろぉ!!」
月「や、やめろっ!!……っう」
山「つ、つっきーぃいぃ!!!」
(同じ1年なのに、年下に見えるのは何故…。)
只の握手にむきになる日向君と、この世の終わりみたいな顔をしている月島君。山口君は月島君にベッタリだし、影山君はただのバレー馬鹿…。
私がため息をつくと、澤村先輩と菅原先輩が肩を叩く。
澤・菅「ま、頑張れ」
貴「……はぁ」
私しか居ないのかな。普通の人。
菅「そういえば、風間さん、仮入部だったよね?そろそろ仮入部期間過ぎるけど…」
貴「あ…忘れてました。」
私は先輩方の足を引っ張らずやっていく自信が無かった。だから仮入部にしていた。やっぱり無理です、と言って辞めることも出来ると思ったから。
でも今は、このみんなと一緒に居たい。この部のマネージャーを続けたい。
私の中ですれ違う気持ちが、不安という形で顔に出ていたらしく、澤村先輩と菅原先輩が私の顔を覗き込む。
澤「…何か、心配事か?」
貴「え?!私また口に出てましたか?!」
菅「いや、口には出てないけど、顔に出てるべ。」
澤「ちょっと体育館の外で話すか?」
アイツ等が居るとうるさいしな。と言って連れ出してくれる。
私が本当の事を話したら、マネージャーやらなくていいとか、足手まといだとか、言われてしまうかも知れない。そんな事言われたらどうしよう。凄く、怖い。
でも、いつかは話さないといけないのだ。
貴「…はい。」