第2章 イチゴミルク
澤「落ち着いたか?」
貴「は、はい。すみません。」
私は先輩の練習時間を潰した挙げ句、涙で制服を汚すという最悪な事をしてしまったのだ。
貴「学ラン…汚してすみません。」
澤「わかったから、もう謝るな。」
貴「すみません…あ。」
つい口から出る謝罪。澤村先輩は、また言ったな、と困ったように笑う。
困らせたくないのに、どうしたらいいか分からない。
今まで、ばあちゃんにも涙を見せなかった。それなのに澤村先輩の前で父の話しまでして、こんなに泣くなんて…
澤「おい。」
先輩に呼ばれて顔を挙げると、
貴「!!…冷たい!」
澤「これ、飲んで元気出せ。」
貴「…あ。」
先輩が渡してくれたのは、イチゴミルク。
私の大好きなイチゴミルク。
自然と笑顔になれる、不思議な飲み物。
貴「ありがとうございます!」
澤「やっと笑ったな!」
そう言って笑う先輩の笑顔は
太陽の様に
輝いていた。