第2章 イチゴミルク
黎side
『黎……無理するな。』
貴「お、とうさ、ん。」
『お前は、一人じゃないだろ?
あんなにいい青年が味方に居るじゃないか』
貴「え?」
『……風間』
貴「…誰?顔が…良く見えないの…」
『………俺は、
━━━だ。
━━━風間?」
貴「…え。澤村、先輩?」
澤「っはぁ、良かったぁ」
澤村先輩が私の隣で安心したように笑っている。
お父さんは、居ない。
貴「ここ、は?」
澤「保健室。朝早いからまだ…」
貴「私、お父さんに会ったんです…」
澤「え…」
貴「お父さん、半年前に事故で…いなくなったんです…もう、居ないの……」
澤「……そう、か。」
澤村先輩は、迷いながらも私の頭に手を乗せる。
温かくて、大きくて、安心する、先輩の手。
それと似ている、お父さんの、手。
貴「先輩の手が……とう、さ…に、似て…て…」
澤「…ん。」
貴「は、…しった…のも……手ぇ…思い、だ…し…ふぇ…」
澤「…泣きたいだけ泣け。俺しか居ないから。」
そう言って私を大きな身体で包んでくれる。
優しく、力強く……
私は結局、朝練が終わる時間まで先輩の腕の中で
泣いていた。